O'Reilly Japanの電子書籍に期待

昨日O'Reilly Japanからメールが来て、Ebook Storeがアップデートされたとのことでした。今回のアップデートで、過去に購入したEbookを再ダウンロードできるようになりました。

O'Reilly Japanの電子書籍のDRM

これまで購入したPDFを失くしたわけではないのですが、何が嬉しいかというとDRMフリー版を手に入れられたことです。O'Reilly JapanのEbook販売が始まったのは2008年12月ですが、最初は不正コピー防止の仕組みが色々と付いていました。まず、全ページに購入者のメールアドレスが入ります。さらにPDFの保護機能によって、印刷や内容のコピーができないようになっています。

これで何が困るかというと、自分なりに加工した版を作れないということです。自分はよくEbookをタブレットに入れて外で見るのですが、ページ全体を表示させるとやはりタブレットでもかなり小さくなってしまいます。そんなとき、余白の部分を削った版を作る、ということをよくやっていました。上下左右に余白があるというのは紙の書籍を作る上では大事ですが、タブレットにはそもそも画面の縁があるので全くの無駄です。

そこで、PDF Scissorsというソフトを使うと特定の部分だけを抜き出したPDFを作ることができ、タブレットでの読みやすさが格段に上がります。

しかし、O'Reilly JapanのEbookは保護機能のためPDF Scissorsも使えませんでした。

今年5月になってDRMフリーになり、めでたくPDF Scissorsによるクリッピングができるようになったのですが、以前に購入したもののDRMフリー版のダウンロードサービスはありませんでした。O'Reilly Japanでは3月終わり頃に全Ebookを半額にして売上を日本赤十字社に寄付、というキャンペーンがあり、それに便乗してその時にまとめ買いしたのですが、これがすべてDRM付きの状態のままのため、これまで随分悔しい思いでした。

今回のアップデートでようやくDRMフリー版が手に入りました。ただし、すべての書籍が対象というわけではないようで、DRMが完全になくなるのはまだ時間がかかりそうです。

日本語の電子書籍とePub

O'Reilly JapanのEbookはPDFのみですが、アメリカの本家O'Reilly(oreilly.com)では、PDFだけでなくePubやMobiにも対応しています。さらにこれらは別料金ではなく、Ebookを購入すればどのフォーマットでもダウンロードできます。

ePubやMobiであれば、Sony ReaderやKindleで読むことができるわけです。これらは電子ペーパーを使っているため目の負担が少なく、長時間読むことができます。PC・タブレット・スマートフォンは一般的に透過型液晶を使っており、バックライトがあるため目が疲れます。

O'Reilly JapanのEbookがなぜPDFのみかと言えば、個人的な予想ですが、やはり標準のフォーマットがないことでしょう。ePubというのは1つのファイルになっていますが、実は単なるZipファイルで(拡張子を変えると実際に解凍できる)、中はHTMLやCSS、それにいくつかのメタデータで構成されています。要はWebページと同じなのです。

Webページと同じということは、Webサイトの世界のツールやノウハウがそのまま生かせるのがメリットなわけですが、日本語の組版については弱いと言わざるを得ません。日本語の書籍には必須と言える縦書きやルビなどのサポートがどうしても不十分なのです。

そこで、日本語をはじめとした国際化を行うePubの策定作業が行われ、先日ePub3として晴れて完成しました。今後は日本語の書籍もePubで作ることができるようになり、また対応リーダーも増えていくことでしょう。

とは言え、日本の多くの出版社は電子書籍の販売に二の足を踏んでいる所が多いようです。O'Reilly Japanには是非その先陣を切ってもらいたいと思います。